商品やサービスの依頼を受ける際は必ずと言っていいほど依頼者から価格の交渉をされます。
しかし価値の高い商品やサービスを安い価格で売ると利益を得られなくなる可能性がある上に、商品の価値も下がってしまいます。
そのため価値と価格のバランスを考えて最終的な取引価格を決めなければなりません。
どちらを重視するかはその会社で扱っている物やサービスによって異なります。
依頼者に対する対応方法も異なるため、戦略を明確にすることが大切です。
★Pickup!ラジオ配信でも価格と価値について放送しています。
スタエフ放送で聞く場合はこちらをクリック(※standfmの外部アプリが表示されます)
このページの目次
価格と価値の違い
新しい商品やサービスを取り入れる際、依頼者は価格と価値について質問するのが一般的です。
まず価格と価値の違いを以下で見ていきましょう。
-
価格…基本料金やオプション、まとめ買いをしたときの値引き率など
-
価値…物やサービスの本来の価値、他者とのサービスの違い、依頼をするとどんなことをしてくれるのか、希望を叶えられるかなど
価格と価値は似ていますが全く違うものです。
依頼者が求めるものによってどちらを重視するのかが分かれますが、少しでも安く良い商品やサービスを手に入れたいと思うのは皆同じです。
どんなに価値があるものでもその価値を理解してもらうのは簡単ではありません。
逆に価格はわかりやすいため、価格を優先するケースがほとんどです。
価格だけを重視している依頼者には要注意
依頼者は価格と価値についての質問と一緒に、納期や管理方法、連絡方法なども聞いてくるのが一般的です。
その後質問に対する回答を責任者に伝え、さらに交渉を続けた上で商品を購入する会社やサービスを依頼する会社を決めます。
しかし中には価格だけを重視する依頼者もいます。
最低限の依頼事項だけを伝えてとにかく見積りが欲しいと迫ってくるのです。
具体的な依頼内容や重視している点を質問しても、まずは見積りを要求されます。
しかし商品やサービスの価値をわかってほしい場合は、価格だけしか見ない会社と取引をしても後々良い付き合いができない可能性があります。
またライバル会社の可能性も否定できません。
そのためこの先もやりとりを続けるか否かについては、慎重に判断する必要があります。
すぐに値引き交渉をする人にも注意が必要
問い合わせの段階で値引き交渉をしてくる依頼者もいます。
まだ商品やサービスについての詳細を話していない段階で値引き交渉をされると、誰でも不快な気持ちになるでしょう。
価格交渉が上手な人は市場価格やサービスについての価値などを事前に調べた上で問い合わせをしてきます。
さらに複数の会社から見積りをもらい、原価積算なども含めて複数社を比較します。
その上で他社の価格を伝え、この価格よりももう少し安くならないかと交渉するのです。
このような手順を踏まずに「大量に購入するから安くして欲しい」とはじめから価格交渉してくる場合は、思い切って断るのも1つの方法です。
自社の戦略を明確に!
自社の戦略が明確になっていないと、どのような交渉をすれば良いのかはっきりしません。
そのためどのようにして自社の商品やサービスを売るのかを明確にすることが重要です。
大まかな戦略は大体以下の2パターンに分かれます。
-
薄利多売
-
物やサービスの価値を高めてその価値に合った価格設定にする
ポイント
先の項目では価格ばかりを重視する人は断るのも1つの方法だと述べましたが、薄利多売の戦略の場合は対応が変わります。
そのため戦略を明確にすることは重要なのです。
薄利多売にならないようにする
薄利多売とは次のようにして利益を上げる方法のことです。
- 薄利多売…品物の値段を安くして品物を多く売り、全体の利益を上げる
この方法は製作に手間のかからない商品を大量に生産できるケースに向いています。
1つ1つの利益は少なくても大量に売れれば利益も多くなります。
ただし薄利多売にならないようにしなければなりません。
つまり大量に売っても利益が少ないという事態にならないようにすることが大切だということです。
そのため依頼者に言われるがまま価格を下げるのではなく、単価を意識して交渉することが大切です。
価値を重視するなら価格を下げない
逆に物やサービスの価値を重視しているのならば価格を下げないほうが良いです。
薄利多売になってしまう可能性があるからです。
依頼者が価格交渉をする際は、他社よりも安い見積りを持ってくるのが一般的です。
その見積りで交渉が成立したとしましょう。
実際に商品を納品する際は様々な指示をされることも少なくありません。
交渉が成立してしまった以上、商品の発注を受けた側は安い価格で質の保ったものを作らなければならなくなります。
注意ポイント
その結果こだわって作り上げた商品でも利益が残らないという事態になることもあります。
1度価格を下げると価格を上げるとは言いにくくなる
また1度価格を下げてしまうと、次回からは価格を上げたいということを言いにくくなってしまいます。
例えば1度目の契約が終了した後に先方から再度依頼を受けたとします。
その際にもう少し価格を上げたいと伝えると、交渉が決裂することも珍しくありません。
先方は品質の良い商品を安く購入できるという理由で契約したのです。
そのため同じ商品を高く購入することになれば、もっと安く取引できる会社を探すのが一般的です。
最初の提示金額が基準になってしまうため、価格を決める際は本当にこの価格で良いのかしっかり考えなければなりません。
もちろん売り上げ的に厳しい場合は、多少無理のある価格でも引き受けなければならないこともあるでしょう。
しかし価格を下げ過ぎないことが重要です。
まとめ
こちら側が設定した価格で購入してもらえるのが最も望ましい形です。
しかし依頼者側も少しでも多くの利益を得ようと考えているため、こちら側が設定した価格で交渉がまとまることはほとんどありません。
そのため価格のボーダーラインを決めておく必要があります。
商品を安く大量に売る作戦ならば、生産原価を意識した上で依頼者が望む価格に近い価格で交渉を成立させるのも良いでしょう。
しかし価格ではなく価値を重視する場合は、なるべく価格交渉に応じないほうが良いです。
商品の開発秘話や商品に対する思いなどを伝えて、商品の価値をわかってもらいましょう。
また誰から買うかというのも重要なポイントのため、人間力や営業力を磨くことも大切です。